ジャーナリストを目指す人の必読書
本書の第1部の最初のページを読みはじめると、みぞおちあたりが締め付けられ、吐きたい気分になりました。米国のAlbuquerque Tribune紙でプルトニウム人体実験について詳細に調査した内容を記事としたことでピューリッツア賞を受賞したEileen Welsomeの"The plutonium experiment"を翻訳した本書、私にとって衝撃な本でした。
第1部はプルトニウムを注射されて人体実験された18名に関する内容(執筆はEileen Welsome記者担当)、第2部は医師や放射性物質取り扱いの現場などで働いた人々の事故などを中心に解説(執筆はAlbuquerque Tribune)されます。
本書は単なる翻訳本ではなく、翻訳者の広瀬隆氏によって第1部の前に「ウェルサム記者のレポートについて」と題して本書を読むのに役に立つ計画の背景や関係する人物、放射性物質の単位などの基本知識が20ページにわたって提供され、第3部は広瀬隆氏自らの解説として、マンハッタン計画や実験が明るみに出て以降の社会的な反応などについて紹介されます。
アメリカは最初の原爆の実験で自国の兵士を爆心地から遠くない場所に配したり、広島・長崎の原爆投下後にその被爆の影響を評価するため、原爆傷害調査委員会を設置したりしています。戦争が狂気を生んだのか、このような狂気を人間は本来的に持っているのか、考えさせられます。
ひとりのジャーナリストの長年にわたる地道な調査が隠蔽された一国のスキャンダルを太陽の下に曝しました。暗部ともいえるこの実験に関する本を読むには心の準備が必要ですが、多くの人、特にジャーナリストを目指す人には是非、読んで欲しい本です。
日本のエネルギーを支える原子力に疑問符
マンハッタン計画。 ナチスの人体実験にも勝る地獄のような実験が、アメリカで行われていました。広島のウラン原爆、長崎のプルトニウム原爆の礎として、放射性物質を体内に注射され、人生を狂わされた被験者とその家族の苦しみを、我々は知るべきだと考えます。 今現在使われる放射線業務における管理値やしきい値は、彼らの捧げた人生とともにあるのです。 神も恐れて作らなかったプルトニウムを、人間が作ってしまったがために、その毒性は世界中の「悪魔」を虜にしてしまいました。 原子力が安全であるという認識が崩れ去っている現在、本当に原子力発電や再処理工場が暮らしを豊かにするのかどうか、改めて考え直す時期であると考えます。
神をも畏れぬ壮大で冷酷なる実験の名のもとに
原子爆弾、水素爆弾の威力、破壊力を検証するために実証するために科学的に分析しデータを収集するために歴史の悲劇が行われて来たのならば、一体全体無念の思いでこの世を去った彼らの人生とは何だったのか、戦渦の中で壮大なる実験場としてわが国が利用され結果的に幾千万の被害者を生み出し、今尚中東の地で劣化ウラン弾という別の形の核の悲劇が発生している現実を直視すればアメリカという国家の真の姿が見えるはずだ
小学館
一本の鎖―地球の運命を握る者たち 原爆はこうして開発された The Plutonium Files: America's Secret Medical Experiments in the Cold War アメリカの経済支配者たち (集英社新書) 持丸長者[国家狂乱篇]―日本を動かした怪物たち
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