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古代史紀行 (講談社文庫)



古代史紀行 (講談社文庫)
古代史紀行 (講談社文庫)

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たどる

 1990年に出た単行本の文庫化。
 日本各地の遺跡・史跡をめぐり、歴史をたどっていこうという試み。もちろん、宮脇氏のことだから、列車やバスなどの移動手段についても詳しく書かれている。旅と歴史が融合した好著。
 魏志倭人伝から奈良時代の終わりまでが「古代史」。はるか昔だが、意外に各地に史跡が残っている。それをいちいち訪れようというのだから凄い。まあ、ちょっとわずらわしい感じになるのだが。
 宮脇氏の元気な姿が見える最後の時期の作品。
壮大なる日本通史の旅、そして賽は投げられた

 
 徳川家康にまつわる歴史紀行を手がけた宮脇さんが、今度は古代より始まる「日本通史の旅」を発案された。最初に動機についてサラリと触れているが、実はたいへんに壮大な目論見である。古代から現代ゆき「時間的片道(おそらく最長)歴史の旅きっぷ」なるものを企画されたとでも言えようか。ただし、いかなる交通手段も利用可、途中下車いくらでも可、金額不明、有効期間無制限...

 内容は、古代人の人間臭い側面を実によくあぶり出しており、素養に欠ける私に歴史の楽しい読み方を教えてくれた。年代順にこだわるあまり、飛鳥や奈良はイヤというほど何度も訪れており、阿呆らしくもあるが、そのことがむしろこの地域の歴史の重層性を体現しており、読者に歴史の本質を見せてくれているような気もする。

 日本通史の旅は海を越え、韓国や中国も訪れている。歴史に忠実にと、わざと時間のかかる船旅を選択するこだわりもおもしろい。それでも毎回の日程やコースを丹念に追っていくと、短時間のうちにきわめて効率よく史跡巡りをされていることがわかる。さすがだ。

 日本史という相手がとにかく膨大、莫大、というより無限大なので、まともに取り合おうとすれば、それはもはや無謀である。時間もお金もどれほどかかるか分からない。制限が「年代順」だけなのでかえって扱いが難しい。果たして宮脇さんはどう取捨選択し、通史の旅を綴ってゆくのだろうか。今後がとても楽しみである。



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